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食の安全を確保し「風評被害」を予防するためにも放射能測定体制の抜本的な見直しを

~農水産物の放射能測定に関するヒアリング報告

 一号機の原子炉建屋内ポンプ室で放射線量が毎時1120ミリ㏜と高い値であることが報じられています。高い放射能汚染で冷却作業が困難にならないよう祈るばかりです。22日に県の農水産物、大気などのモニタリングの実態についてヒアリングしたその概要を報告します。なお、文中のKさんは、放射線生物学が専門の方です。

●大気および千葉県産の農水産物の放射能測定に関してのヒアリング要約

20110422日、農林水産部) 

【川本】事前に提出した15日付の「大気および千葉県産の農水産物の放射能測定に関してのヒアリング」に従ってヒアリングする。

 総理から県知事に出された暫定規制値を超える検査値の品目について、当分の間、出荷を控えるように関係自治体の長および関係事業者に要請するように、指示書が出されている。この指示書の根拠となる検査値が信頼に足る精確な数値であるのか、確認検証されているのか。農産物、水産物のモニタリングの詳細についてきちんと説明されていない。モニタリングをきめ細かく実施し、サンプリングについてきちんと説明責任を果たせば、風評被害は生じないのではないかという声が多くある。

農産物のモニタリングの詳細は?

 サンプリングの詳細はどうか? また、規定するマニュアルがあるのか?

【県】農林水産省が今回作った「食品農産物等の採取送付手順マニュアル」があり、それに従ってサンプリングをしている。マニュアルによると、場内の一箇所から農産物を採取して産地から通常出荷される条件と同様の処理を行う。食べられる部分が合計2キログラム以上になると思われる量を採取し、検査している。

【川本】マニュアルはHP等で公開されているのか?公開されていなければ写しをいただきたい。

【県】国の方で関係者限りの扱いの形でのマニュアルになっており、写しの交付の可否は農水省に確認せねばならない。

【川本】サンプリングの妥当性はどうか。サンプリングの割合、頻度、あるいは、放射能の拡散状況や栽培側の条件などはマニュアルには明記されているのか。

【県】国から「露地」という指示があるが、千葉県の場合には、今の時期はほとんどが「ハウス」で作られているものが多いので、やむを得ず「ハウス」からサンプリングをし、その旨を記録している。

【川本】県のHPで測定結果はこうでしたというものが発表されているが、露地という前提だけれども実際はビニールハウスですよとか、それから全体の採取されたもののうち、この測定は何ポイントでやりましたとか、そういった細かい報告というのは、国の方には出しているか。

【県】国には、ハウスということについては報告している。細かい報告は出していない。

【川本】細かい点について県が把握しているのか。

【県】マニュアルには、例えば土壌の場合、1枚の土壌の中の何地点から混ぜなさと言う指示のあるサンプリングもあるが、今回のサンプリングでは、土壌の端を除いてまとまったところで取りなさいと指示があるので、そこから2キロ以上取れるような所であれば、それを採取している。

【川本】今回作られた農水のマニュアルにはそう書いてあるということか。

【県】はい

【川本】どこをサンプリングするかとか、例えば、旭市なら一箇所すればいいのか、それとも 何箇所かなどマニュアルに指定されているのか。

【県】マニュアルの中には、千葉県内でどことどこをやりなさいという指定はないが、千葉県を大きく4つの区分して、福島の第一原子力発電所からの距離を換算して、①200km圏内、②200250km圏内、③250kmを越える部分、に分け、200km圏内の部分、200250km圏内については、東京湾側の方と太平洋側の方と2つに分けて、その中でサンプリングをしてきている。1週間ごとに検査をしている。 

【川本】モニタリングをしてその結果が出るのは?

【県】翌日に(早いところ)

【川本】その測定箇所は、常時固定ではなくて、それぞれに合わせて変えているのか。

【県】ブロック分けした中で、変えている。

【川本】サンプリングするといっても、これだけ風評被害があると少なくとも各市単位ごとにきちんとやればきめ細かくできるだろうし、ここはこうですよといえると思う。実際大気の測定値をみても 同じ稲毛区にありながら放射線医学総合研究所と日本分析センターでは数値が異なる。風向きとか、雨が降るなどで違ってくる。もっときめ細かいモニタリングをやるというのと、生産物側の条件、露地やハウス、あるいはハウスでも裾をちょっと上げている、密閉してきちんとやっているなど、条件の違いも考慮しきめ細かくモニタリングすることが必要と考えるが。

【県】農産物については、現在農林水産省の協力を得て毎週22点検査している。115点が限界というところを22点やっていただいている。

【川本】検査分析体制そのものに限界があるということか。分析機関はどこか。

【県】限られた中で各ブロックから市町村を選びつつ、全体を把握してという形を取っている。農林水産省と厚生労働省の方の外部機関に依頼している。

【川本】サンプリングの技術は確実か。

【県】サンプリング技術については、マニュアルの中にかなり細かく書いてあるのでその通りにやっている。

【川本】実際、サンプリングの経験者がそうしているということか。

【県】普及員がやっている。

【川本】サンプルの検査前の処理の有無はどうか。

【県】国の緊急時における食品の放射能測定マニュアルがあるが、それにそって検査機関の方で前処理はされていると聞いている。

【川本】科学的に有意差があり明らかに暫定規制値を超えているとして、出荷を控えることについて、県は、関係自治体や関係事業者は理解していると考えているのか。

【県】食品の放射能汚染にかかる食品衛生法第6条第2項に暫定規制値があるが、法律上食品の測定値がそれを上回れば暫定規制値超過となると判断される。暫定規制値を少しでも超えれば、法的に超過という扱いになる。

 関係自治体、関係事業者に理解してもらえていると考えている。

 暫定規制値については、極少量しか食べない野菜もあれば、たくさん食べる野菜もあるが、そういったものを十把一絡げにして、野菜の基準が作られており、食べる量を考える中で各品目ごとに基準を変えるなどの配慮があればと考えている。これについては国民の食生活の実態や健康影響を十分考慮した規制値を設定していただきたいということで、国に要望している。

【川本】具体的に、このぐらいの数値にしてくれという要望は 数字として出されたのか。

【県】考え方にそった形での検討をしていただけないかという要求をしている。

【川本】国の方は、特に暫定規制値どおりだということか。

【県】厚生労働省の方で 再検討が始まっていると聞いている。

【川本】今後の測定体制も含めてだが、そもそも旭市を含めて一時、大きなモニタリング数値が出たと思うが、なぜそうなのかというという分析を県全体の組織の中でやっているのか。

【県】原子力発電所の事故と上空での風の流れなどの影響と考えている。

【川本】翌日の風向きとか天候とか、いろいろな大気の汚染のモニタリングのデータなどをみながら、「こういうことだから、気をつけるように」とか、ビニールハウスであれば、密閉度を確保するようにとか、ということによって、農産物の汚染被害をある程度抑制できるような、対策が取れるのではないかと思うが、事前の天候や汚染の拡散予測を踏まえてそういうような対応、対策をとる必要があるのではないか。

【県】それについては、今まで、そういった取り組みが確かに千葉県としてはなかった。 

【川本】農業だけでなくて、生活している方々の汚染を最小限にするということからも そういう事前の予測データをきちんと集めて、それを周知徹底することが必要だと思う。

農産物について122点しか検査できないということだが、検査体制を国としても充実するとともに県としても、例えば、県の場合は衛生研究所もあるわけだし、予算を国に要望し国、県の体制強化という形で対応をとっているのか。

【県】農林水産部だけでなくて、環境生活部とか関わるので、予算要求のそういった形での要求があれば大きいと思う。農林水産部の安全推進課としても農産物のそういった分析をぜひとも数多くやっていただきたいと思う。財政課を中心に取りまとめているとは思うが。

【川本】全体の取りまとめを総務でやっているということですが。庁内ではそういうのはどんどん出しているという状況ですか。その部としては正式に出しているということですか。文章として庁内で出しているということですか。

【県】各部検討されて出していると思う。

【川本】それは、是非 どういうのを出しているか知りたいところです。

もう1つ、農産物に関しては、測定体制が十分とは言えない現状の中で、例えば農協だとか、生協だとか、いろいろな組織が測定されていると思う。ある程度しっかりした測定体制があるところが実施した結果を、HPなどで県民に公表することはしていないのか。

【県】していない。

【川本】これからはどうか。

【県】分析した機関とか サンプリングの方法とか違う場合もあるでしょうし、それについて県のHPに載せる以上は、県として確認が必要だ。十把一絡げで全部データを載せるというのは支障ある可能性もあると思うので、現段階では、そういうことはやっていない。

K貝魚、暫定規制値をオーバーしたものの出荷制限を解除するための試験、これは現在の指導ですと、約1週間毎で3回連続で規制値を下回っている場合、解除してもよいということになっていると思うが、その1週間毎にということに関しては、県としては妥当な決まりだと考えているか。

【県】半減期を考慮して、産地によっては早く解除してほしいということもあるので、1週間といわず、4日とか 早く解除したほうが、良いという意見もあるが。

Kここは非常に重要だと思う。消費する側にとってもすごく重要な問題で3週間でなぜ解除されないのだろうかという事を考えた場合にそのサンプリングをして規制値を下回っているにもかかわらず、その他のところでは、同じような地域だともっと高いところがあるのではないかと消費者の方は考えたりする人もいる。

逆に生産者側からすると1日に22点しかサンプリングできていないということなので、土壌あたり、1つの土壌で1つのサンプル、例えば、パセリならパセリをしたとすると、他の同じような地域でできていないはずなので 何ポイントもパセリでやっていないはずだ。どう考えてみても1週間ごとに1回のサンプリングをしても前回のサンプリングのものとはぜんぜん違うもので、植物の場合は成長もし、半減期だけのことを考えて見れば当然、前にあったものが、降り積もってない限りは、少なくなっているのはもう自明の理なので、わざわざ検査する必要はない。規制値をヨウ素131ということだけ考えた場合には、半減期から、何日たったら解除してもよいということになる。

そこの地域で規制値をオーバーするものがあった場合に集中的にそこの違うサンプルを含めて検討する必要がある。しかも、温室などでの栽培の場合、風が通るように開けていたりすると ヨウ素とか 比較的重いものですから、下にたまりやすい。温室のどちら側を開けていたかとか、温室の構造によっては すごくたまりやすい。そういうことをサンプリングするときに 普及員が考えられるかということもあるし、実際に出荷前の処理をどういう形でやっているか、洗浄をどれぐらいしっかりやっているかとか、そういったことも本当に県として確認をしながらやっていかないと、本当は必要もない心配をさせてしまうような検査データを導き出すような取り方をしている可能性がある。もし本当にそういう構造の所で高く出やすいのであれば そういう構造のところだけは こういう処理をして出してくださいとか、そういう形で物事が進んでいくほうが、1回2回食べたところで問題がないようなレベルの数字ですし、今の段階のものというのは。政府のほうもそういう言い方をしながら、できれば食べないほうがいいということで念のためにそういう規制をしていますという言い方をしているが、風評被害を起こしやすいトークをされているので、そういったところも県がしっかり地域住民のためにも理解できない内容であれば 国のほうにどんどん、サンプリング方法だとか そういうことについてはやっているということなので、それに倣う形で考えられる内容については、検討して出していっていただきたい。

【川本】これだけきめ細かく安全確認していますよという事を県民その他にアピールできるような形に指導してそれをオープンにすれば風評被害というのは出ないのではないかと思う。

【県】国のサンプリングのマニュアルについて、国のほうとしては 市場に出す出荷する形態でいえば、例えばほうれん草ですと 葉っぱ自体は洗わないが、根元のほうの赤い部分、根っこは切って 赤い部分は泥がついていれば水で洗い落として出荷する。こういう通常の出荷の仕方で 検査に出すという形にしている。

 サンプリングについて、各地域で複数地点ということになっており、1点だけの状況で出しているわけではない。県としては強く安全性を確認しながら、検査を進めて結果を出していきたいと思っている。

K極論をいうと、地域というか条件によって、全く数値が変わってくる可能性があるので、前とぜんぜん違う地点のものをやるのであれば、1週間後にモニタリングする必要は全くないと思う。ただ、同じときに降り積もったということに関してのみ半減期の理論は通用するが、恒常的に全く違うところで作られている場合は、新たな実験になり成長の仕方も違うことから、科学的な論拠はなくなってしまう。 

【県】解除した後も規制値を超えたところについては モニタリングを継続することになっており、また風向きなどで放射能が行きやすい場所など想定されればその後の経緯を把握しなさいと言われている。

【川本】先ほどのマニュアルに記載されているか。またオープンにされているのか。

【県】それは、マニュアルではなく、原子力災害対策本部によるもので、オープンにされている。

【川本】農産物については、これは教育委員会の方になると思うが、牛乳もあり給食なども食の問題と関係ある。給食の安全確保について、チェック体制はどうなのか。

K学校によると校長先生とかが、本当にこれは大丈夫なのかということで 結構、産地とやり取りをしてもめているという話を最近よく伺うが、そういう情報は入っているか。

【県】学校の栄養士が問い合わせてくることがあるが、心配していらっしゃるとか、ということは把握している。それに対して何ができるかというと、なるべく検査をしてない市町村を残さないようにということで、そういうレベルで、検査をしている。

水産物のモニタリングは?

【川本】水産物への対応はどうなのか。

【県】水産物は、原則的に水揚げされたものを定期的に調べるという考え。水揚げされて、それが直接消費者の口に届く直前の港に上がった魚を調べるという考えでやってきている。主に千葉県を代表する魚、例えば、いわし、アジ、さば、漁獲量の多い魚、あるいは地域で例えば季節的に特産品になっているもの、要するに消費者が多く求めやすいもの、そういうものを対象にしている。

【川本】海の汚染については、濃度の高い汚染水が放流され、それをプランクトンとか魚が取りこむなど危惧されるが、海の放射能汚染の現状と将来予測も踏まえたところで対応が必要と思うが。

【県】海の放射能関係の情報が少ないので、掴みにくい。間接的には、そこにあがった魚はどうなのかとそこをしっかり対応している。千葉県の場合は一番影響を受けるのは銚子で、銚子に揚がった魚のモニタリングを少し小まめに、現在も週3回ぐらい銚子でしかも影響を受けやすいものについて調べている。

【川本】海水のモニタリング体制を充実する、今後、数ヵ月後に影響があるだろうというようなことも言われているが、今後の体制は県としてどうか。

【県】水産物を対象にやっている。

【川本】サンプルの妥当性について、農産物と同じように非常に大量の中で極一部のもの、しかも 例えばそれが体内に残る場所も部位によって違うでしょうし、水洗いの状況によっても違うでしょうし、検査の前の処理も含めて、実際どこで取ってきたかということでも大きな差があるでしょうし、そうした意味でのモニタリングの妥当性をどう評価しているのか。

【県】1つは、漁場で、そこで取ったものは、影響があるとすれば割と均一なものになる。処理については マニュアルに従い分析機関が実施している。

【川本】この魚はここら辺で取りましたというデータはきちんと持っているのか。

【県】我々のほうのデータでは、どこの船がどこで取ったという漁場の情報は持っている。「最終地点の情報をください」とはっきり言っている。

【川本】海水の測定データとの突合せをしているのか。

【県】漁船なので、海水の情報はない。

【川本】海水の放射能の汚染の状況というのは、所掌としては環境になるのか。

【県】そうだ

【川本】突合せができるようになればいいと思うが、庁内で要望しているか。

【県】水の検査、水産物の検査、そのへんの体制はしっかりとっているということはいえると思う。

K千葉県の東方沖というと 海流がぶつかるところで しかも房総のほうに潮流が部分的に起こりやすいところがある。どういう潮流とか海流の流れで 汚染がどこまで来ているのかその深さはどうか、などを図ればと思うが、実際に農水関係のもので、1日に22点の検査しかできないとのことだったが、こちらのほうは検査としてはどれぐらいの数がこなせるのか。

【県】検査機関にも限度があり、1日5検体だ。 

【川本】どれぐらいの間隔でやっているのか、

【県】1日おきに。

【川本】他の茨城ですとか、他の県のデータの整理はやっているか。

【県】今のところ千葉県内で取れたものについては、暫定規制値を超えたものはない。