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県の農水産物の放射能汚染対策は?(7月25日ヒアリング報告)
 海への放射性物質の放出によって、すでにチェルノブイリ事故時の比ではない高濃度汚染が観測され、「地獄の釜の蓋が開いた」といわれています。(週刊金曜日2011.7.29「放射能とお魚、9月ごろが大変なことになる」水口憲哉) 

 さて、7月25日のヒアリングから農水産物について、事前の県への「ヒアリング申し入れ」内容とあわせて報告します。

● 県への事前(7月14日)申し入れ(福島第一原発事故に係る放射能汚染対策)

1.4月28日付け県知事あての「放射能測定体制の抜本的な強化を求める県知事宛要望」で申し入れた以下の4項目に対する県のその後の対処状況

(1)現状の大気、農水産物、水(海を含む)、土壌などの県の放射能のモニタリング体制では不十分である。
県民の生命と健康に責任を持つ立場から、きめ細かな(例えば市町村単位)体制を関係機関と連携して県として責任を持って整備すること。
また、県衛生研究所に食品の放射能検査体制を整備すること。

(2)短期的、中長期的な汚染予測の体制を充実し、情報を公表すること。
風向きや降雨により汚染の状況は細かく変化し、短期的な汚染予測から被害を最小限に抑えることができる。
一方、海水の汚染は中長期的な対応が求められる。

(3)縦割り行政の弊害を排し、庁内一体となって取り組む体制をつくること。
例えば「給食の安全」については、教育委員会と農水部、健康福祉部、環境生活部の連携が求められる。

(4)県地域防災計画で原子力発電所による放射能被害対策を整備すること。

2.県の福島第一原発事故に関する緊急要望内容(6月29日)について

3.福島第一原発事故から4か月経過したが、県内の汚染状況(ホットスポット)、経過をどう理解、把握しているのか? 
今後の汚染予測はどうか? 
プルトニウム、ストロンチウム、トリチウムなどの放射性物質の調査は県内で行われているのか?
 
4.放射能測定データと被ばくについて
(1)空間放射線量で測定されていない放射性物質と量(放射性希ガスなど)
(2)吸入や飲食物の摂取による内部被ばく量の把握について
(3)政府が目安としている避難基準の被ばく線量値20ミリシーベルト超の妥当性について
(4)少なくともICRPの「緊急時被ばく状況」収束後の勧告値年間1~20ミリシーベルトを基本に、支援、補償を求めるべきではないか?

5.厚生労働省のお茶の暫定規制値についての県の見解は?
  
6.規制値を超えた農畜産物が流通ルートにのらないための具体的な対策は?

7.今後、福島第一原発で想定される最悪の事態と、その場合の県民の保護策は?


● 県庁聞き取り(その1~農林水産部)

【小宮県議】今回の福島第一原発の放射能のことで、相変わらず原発から放射能が出続けている状況でいろいろなところにいろいろな影響が出ている。
4月28日に「エネルギー政策を考える千葉市民の会」から申し入れしたことについてその後の農林水産部の関係でどのような動きになっているのかを含めて話していただいて、後、こちらからうかがいたいことがあるので よろしくお願いします。

農水産物のモニタリング状況は?

【県担当者】今、実際どういうことになっているかということをざっと説明させていただく。
農林水産部からは安全農業推進課 農林推進課 生産販売進行課が参加。
モニタリングは国と協力して実施、その結果はHPで速やかに公表している。できるだけ消費者に安心して農産物を使用していただけるようにしている。
「モニタリング検査実施概要について」(7月20日時点での作成)の説明。
原子力災害対策特別措置法第20条第3項に基づく出荷制限等の対象となる農林水産物の農産物、畜産物、林産物、水産物は口に入るもの。
  それに関連して、国の通知等に基づく牧草の放射線物質の定点調査、土壌は国と連携して定点地の調査を実施。

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 農産物
県内を4ブロックに分け、週1回程度、
主要農産物やこれから出回るような品目を選定して検査をしている。
508件のモニタリング検査中 農産物は337件検査実施
規制値を超える産物は2市1町で出ている。
野菜は4月22日に出荷制限解除
茶は、7市町で出荷制限中

 畜産物
県内を4ブロックに分けて、2週間おきにクーラーステーション
(生乳を県内外の乳業工場に送るために、一時的に貯蔵し、冷却する施設)
で19件検査をし、暫定規制値超過はない。

 林産物
県内を4ブロックに分けて、原則複数市町村で実施
原木しいたけ8件の検査実施。暫定規制値超過はない。

 水産物
県内を6エリアにわけ、原則週1回程度実施。
(特に事故が終息していないので、銚子・九十九里に重点をおいて実施)
97件の検査実施。暫定規制値超過はない。

 粗飼料(牧草・わら・飼料作物など)
県内を3ブロックに分け、2週間に1回実施(3地点)
37件検査実施をし、3件暫定規制値を超えていた。
給与自粛は、規制値を下回ったので6月16日に自粛等解除した。

 土壌
畑地は1ヶ月毎、水田は作付け前と収穫時。
土壌に入ったセシウムがどのような影響を与えるか調査
畑6件、水田4件検査実施。上限値超過はない。

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 これまで500件以上の検査をしてきたが、6月議会補正予算でモニタリング検査の強化のため、分析器を購入。最大週25件程度の検査を実施できる能力がある。今までやってきたモニタリング検査に加えて、さらにこの分析器を使用して検査の強化ができる。

【小宮県議】分析機器は入ったか?
【県】分析機器については、今回の6月補正予算で予算化。これから機種の制定、一般競争入札をして、予定としては12月中旬に納品。検査・研修等をして、1月以降検査体制に入れる準備作業を進めている最中。
 5月臨時議会の補正で、検査委託業務について予算化しているので、増やして対応しつつ、1月から県としても設備を導入して継続的にモニタリング検査を実施するよう進めている。

【川本】畜産物・林産物・水産物に関して、モニタリング体制の強化はどうか?
【県】県内の関係課と共有して漏れのないような検査体制。畜産、水産も踏まえて、検体数が限られているので計画的に実施するために農林水産部の関係課と準備作業を進めている。
【小宮県議】 25件の中に 畜産・林産・水産も入るのか?
【県】同じ測定器でする。
【川本】 国と連携した耕地土壌の定点検査で水田が上限値が5000となっている。実態としては?
【県】米の場合、土壌があって根から穂まで移行する係数があって、それが0.1。5000ベクレルだとその移行係数が、0.1なので仮に出た場合、米から500ベクレル出る。500ベクレルは、放射性セシウムの暫定規制値になっているので、土壌にあたっては、5000ベクレルというのが、国から示された数値。
【川本】土壌汚染については、面積あたりに換算するとどうなのか? 土壌としての問題はどうなのか。そこで、作業している人もいるので、土壌としての汚染はどうなのか?そのあたりの確認はどうなのか。 
【県】土壌の検査は、乾いた土に換算して1㎏あたり何ベクレルという検査をしている。
  国から方法など示されている中で15cmの柵の中での、被災したところと同様に検査している。
【川本】農産物に対する安全性という一方で、作業者やそこに立ち入る人たちもいるという観点から面
  積あたりのベクレルを考えたときに、この数値が妥当なのかどうかという確認はしているか。
【県】土壌については、文部科学省と農林水産省が合同で、ここに記載した10地点以外に県内20地点を検査しているが、それについては15cmまでの深さ+それより下の深さまと、農土に対する空間線量も合わせて調べている。その中で、国の方でデータを解析している。
【川本】それはいつごろ発表されるか?
【県】国は、8月中にはロードマップを公表。

豚・トリの餌の管理実態は?

【川本】豚・トリのえさの管理の実態はどうか?
【県】 豚については、ほとんど輸入のトウモロコシや大豆の配合飼料を与えている。えさの流通は、大きなタンカーで、千葉の場合は茨城県の鹿島に陸あげされ、パイプラインで直接工場に輸送され、工場内で配合されて、密閉されて各農場に運ばれる。各農場では、農場のタンク内に入れ、農場内はほとんどパイプラインで餌が給付される。優先順位的に低いと考えられる。汚染される度合いも野外で生育した草や稲わらを使っている牛と違ってかなり低いと考えている。
【小宮県議】 トリは?
【県】トリもブロイラーに関しては、豚とほぼ同じ
【川本】汚染されたものは牛には使わないが、他のものに転用されるというところの対応は十分確認しているか。
【県】牧草類、飼料作物、稲わらをぶた、ブロイラーに食べさせるということは100%ない。
【川本】ないというのは、ないようなシステムになっているのか?
【県】効率性を保つ給餌のシステムになっている。
有機農法でやっている農家には「放し飼いはやめてください」という情報は伝えてある。 
  
有機農業者への損失補てんは?

【川本】有機農業をやっている方たちの風評被害の損害補てんの対応はどうなっているのか・
【県】賠償については一時的には県のJAが中心になってやっている。そこで扱っているのは農協出荷している人、農協出荷していなくても組合員であればいっしょの請求ができる。しかし、有機農業を やっている人は難しいところがあるので、グループの中で東電の方に直接請求をしていただくという形になる。ただ、行政サイドではご自由にというわけではなく、それぞれに相談窓口を設置している。

放射能汚染物の管理は?

【市民】食用としての規制対象の基準値が出たということで、出荷をやめた野菜などの最終的な処分の確認はしたか。
【県】農産物の処分の仕方については、農水省から指示があり、千葉県で基準が超えたのは、放射性ヨウ素なので1週間ぐらいで半分になったということで、4月に解除になっている。処分については農地に一般廃棄物と同じように処分してよいという国からの指示が来ている。
【市民】畜産については?
【県】牧草が暫定規制値を超えたということで同じく農水省から処分の仕方について指示があった。当面の間、「保管しておきなさい」という指示で、農水省からの指示は、1つ目は一般廃棄物と一緒に焼却してもよい。十分腐熟させたうえで農地に穴を掘って埋めなさい。もしくはすき込こんで埋めなさいという指示があった。これについてはセシウムなので、今のところ、焼却した方が良いと思うが、市町村の一般焼却炉の焼却灰に高濃度のセシウムが検出されたので、現在保留中。
【市民】保管されているのか?
【県】保管されている。

ガス化した放射性物質は?

【川本】焼却と言われたが、焼却した場合それがすべて焼却灰の方に放射性物質が移行すればよいが、一部ガス化するという割合や対応はどうなのか。
【県】分からない

測定方法で国際的な方法と日本の方法はマッチしている?

【市民】放射線量については国際的な規制値があるが 測定の方法については、サンプリングや前処理について国際的な方法と、日本の方法とマッチしているのか、その方法が違うと、大分差が出るが、その辺の判断は?
【県】詳細については答えられないが、基本的に現在行っている食品等の放射能の測定マニュアルについては、国の厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課が平成14年5月に示された「緊急時における食品放射能測定マニュアル」に基づいて、たとえば、放射性セシウム、放射性ヨウ素は、ゲルマニウム分析器において測定しなさいという詳細が示されているマニュアルに基づいて検査をしている。
【市民】そのマニュアルが国際的基準とマッチしているかどうかが問題だが、各自治体でもそれをしっかり把握してもらいたい。

モニタリングは汚染実態を把握する上で十分か?

【市民】20点増やして土壌の検査をする件で、マップを国として出してくることになると思うが、20点、30点ぐらいのポイントで放射能マップを作って意味があると思うか。
【県】高濃度の福島の方では、細かくしているが、千葉の場合、20地点でバランスよく、特に東葛方面は濃度が高いので、回数を多くしてやる。
【川本】ホットスポットということで、相当離れたところでお茶の汚染が出た。風と地形に伴ってホットスポットはある程度予想されると思う。20地点でホットスポット的なものもしっかり把握できればよいが、それはなかなか難しいのではと思う。風向きや地形で、3月15日、21日時点の状況をみながら、測定しながら、汚染地図をきちんと作る。今までの農産物の汚染の状況をみながらさらに追加していくという取り組みが必要だと思う。
【県】測定器が入り、1月には県での測定の枠が確保できるので 関係機関等と連携して農産物、水産物、畜産物、以外に土壌も計画に盛り込んでいるので、調整してやっていきたい。
【市民】1月というと事故から10か月たっている。初期の出てしまったものを検査しているが、どう思われているか。
【県】出てしまったものについては、放射性物質のモニタリング検査の実施は、県の農林水産物の安全性を確認するうえで、非常に重要であり、大切であるという認識。基本的には、4ブロックに分けて、具体的には、
千葉・東葛・印旛を1ブロック、
山武・長生が2ブロック 
香取・海匝・長生を3ブロック、
いすみ、安房、君津を4ブロック、
その中で農産物や土壌などのモニタリングをしている。
これまで53市町村(浦安市においては農産物がないので)を最低2回検査している。モニタリングなので、定点的な継続性が必要。また国からの助言もあり、初めは3月から4月の間は、葉物野菜(放射性物質に対して感受性が高い)を中心に、県内一巡検査をし、当初、旭、多古、香取において放射性ヨウ素が基準値を超えたので、出荷自粛要請をかけて対応した。放射性ヨウ素は半減期が8日間なので、その後、放射性セシウム137は半減期が30年程度あるので、今、土壌や農産物の一部、お茶等に出ている。
  5月以降は県内の主要産品が出荷する3日前程度に主要産品、ナシ・ラッカセイ・カブ・大根等、各産地の主要産品を中心に計画的にあらかじめ市町村や生産団体と連携しながら計画的に1週間に22~25検体程度、毎週地域を計画的に4ブロックを必ず分けて計画している。
  農産物の安全を確認するのは、放射性セシウムの半減期は長いので継続的に検査を実施していく。検査結果については、速やかに公表するということで、毎週検査を行い、毎週公表している。
【市民】週25件ぐらいの体制で十分と思うか?
【県】今、できる限りは対応している
【市民】これでは足りないと思っているかどうか?予算が与えられた中で計画的にやっている、そのうえで、今の体制で十分と思っているかどうか。
【県】基本的には放射性ヨウ素は4月以降、検出されていない。5月以降についても500ベクレルを超えている農産物に限ると、お茶のみ。お茶は生葉茶を乾燥させた荒茶で検査する。約5倍に放射性セシウムが濃縮されるので高めに出る。それ以外の農産物、48品目については暫定規制値を超えている農産物はない。
継続的に各産地の農産物を検査していくことが重要。たとえば、高い農産物が出れば集中的にスポットにあてて全県調査する体制はとるが、幅広く品目を検査することは非常に重要だと認識している。
  今は、放射性セシウムの影響が出ている品目(お茶)以外は、暫定規制値を超えてる品目はない。新たに何品目が出れば、集中的な検査になる。
  各品目について、県民の方も心配しているので、検査結果を速やかに公表し、新たに出た場合は、事細かく丁寧に検査をしていく。

勝浦の茶葉の汚染は?

【川本】6月29日に福島から相当距離がある勝浦で、お茶で2300ベクレル。汚染のメカニズムをどう認識しているのか。
【県】国が調べたところ、原発で古い葉に付着したものが新芽に転入したといわれている。勝浦で6月29日に荒茶(1番茶)が2300ベクレルでているので、原発の時についた古い葉から新芽に移った中でそれが生茶葉で採取されて それが荒茶で乾燥されて濃縮されて2300ベクレルになったかと。
【川本】そうすると、(放射能が)勝浦に来たというより千葉県房総全体に放射性物質の影響があって、お茶に関しては勝浦で検出されたということか。ホットスポット的なものではないということか。
【県】7月22日に、勝浦市の2番茶、荒茶が810ベクレルになっている。刈り取っているので、深狩りすると、基本的に放射性セシウムがついている葉がなくなる。国から示された資料によると、台下までスポッと切るとほとんど出ない。
  生茶を荒茶にすると約5倍濃くなるので 逆に割り返せば生茶で160ベクレル程度に落ちている。今後刈り込んでいけばお茶の場合は低くなるといわれている。
【小宮】県民の方たちは何を食べたらよいのか、子供たちに何を食べさせればよいのか、現実的に声を投げかけられている。毎日のことですので、よろしくお願いします。