2011年9月9日
千葉県知事 森田健作 様
千葉の子どもたちを放射線被曝から守るための要望書
~詳細な汚染マップの作成と食品暫定規制値の見直しを~
エネルギー政策を考える千葉市民の会(注1)
東電福島第一原発事故から6ヶ月となります。経産省原子力安全・保安院の発表(8月26日)によると東電福島第一原発1~3号機から大気中に放出されたセシウム137(半減期約30年)の量は広島型原爆168個分に相当するといいます。
3月後半までにこれら放射能の大半が大気に放出されましたが、当時、千葉県民はこうした事実(予測を含む)を知らされることなく、被曝防止のための有効な手立てをとることができませんでした。
今、主食であるコメの収穫の時期となり、食品を通した内部被曝が心配されています。
そこで、千葉の子どもたちを放射線被曝から守るために以下のことを要望します。
「住民の生命、健康の安全の実現」という社会的要請に応える真の「コンプライアンス」(タテワリを排除し、「思考停止した単純なルール厳守や政府方針への追随」思考を排除することが必要条件)と地方分権・自治の立場から、要望内容について真摯にご検討いただき、施策に反映されることを求めます。
なお、ご多用中誠に恐縮に存じますが本要望書に対して、9月30日までに文書によりご回答いただきたくお願い申し上げます。
1.放射線汚染状況を詳細に把握する
(1)県、市全域の汚染分布、ホットスポットを把握し、県内の詳細な汚染マップを作成する。
①航空機モニタリングを実施し、県全域のセシウムの分布状況を把握する。
②NPO、市民などと協力してきめ細かくモニタリングを行い、ホットスポットの場所を特定する。その場合、モニタリングの要領周知、モニターの貸し出しなどの体制を整備すること。
(2)食品の流通段階でのモニタリングを充実させる
大量の梱包された食品を連続的に測定可能な「食品放射能測定システム」により、米、豚肉、牛肉 、野菜などの流通段階でのモニタリングを充実させる。
2.放射線の基準限度は法令に定める年間1ミリシーベルトを基本とする
(1)一般人は年間被曝量(外部被曝+内部被曝)を法令に定める1ミリシーベルトを基準限度とする。 こどもは、細胞分裂が活発で放射線感受性が一般人(30歳前後)の2~4倍高いと言われることを考慮し、 より厳しくすること。
※1:施設外における原子炉施設による線量限度は年間1ミリシーベルトと定められている
※2:線量限度は、個人の被曝(累積)線量を制限する為に設定された値で、すべての被曝源(医療被曝、自然放射線被曝を除く)からの線量の合計を制限するものである。
(2)食品の規制値は、前項の基準限度に基づき見直す。
主食のコメについて政府が定めた暫定規制値500ベクレル/kgはコメだけで基準限
度をオーバーする可能性がある。
※セシウムをセシウム137とセシウム134が半々だとして、被曝線量係数は、1ベクレルあたり 0.016マイクロシーベルトを使用すると、
500×0.164×0.016×365÷1000=0.479mSv
日本人(成人)の平均的なお米の摂取量は、通常で0.164Kgと言われる。
500×1.4×0.016×365÷1000=4.088mSv
日本人(成人)の平均的な食品の摂取量は、通常で1.4Kgと言われる。
体内被曝、対外被曝をあわせて1mSvを守ろうとすれば、かなり厳しく制御することが必要と なる。すべての食品が汚染されているわけではないが、食品以外の放射性物質の摂取やそのほかの 被曝も考えられる。お米の規制値が500ベクレル/Kgではお米を食べる量の多い人ではお米だけで も基準限度をオーバーする可能性がある。
3.子どもの被曝を防止するとともに、内部被曝状況を確認するために以下の処置をとる
(1)給食を通じた子どもたちの内部被曝を防止するため、食品(原材料等)のモニタリング体制を充 実すること。
(2)学校敷地内を詳細にモニタリングしてホットスポットの有無を確認し、前項の基準限度に照らし て高い線量が確認された場所は土壌除去、除染、立ち入り禁止などの措置をとること。
(3)尿検査体制を整備すること。
(4)「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)のヨウ素131の空気中の濃度分布の試算結 果と実測値から、過去の内部被曝値を推定すること。
4.放射性セシウムで汚染された上下水道汚泥や瓦礫などの災害廃棄物は、二次三次被曝を防止するた め、安易に焼却せず拡散防止対策を施した現地貯蔵管理を原則とする。焼却の場合、放射性廃棄 物処理施設またはそれに準じた設備(フィルターなど)が整った施設で行うこと。
注1:(連絡先)〒267-0065千葉市緑区大椎町1188-129 電話&FAX043-294-8607
代表 川本幸立