2011年11月25日
千葉市長 熊谷 俊人 様
エネルギー政策を考える千葉市民の会
代表 川本幸立
連絡先:千葉市緑区大椎町1188-78
電話&FAX:043-294-2138
千葉の子どもたちを放射線被曝から守るための再要望書
2011年9月9日付けの当会の「千葉の子どもたちを放射線被曝から守るための要望書」に対する10月21日付け回答書を受領しました。回答いただいたことに感謝申し上げます。
その後、回答内容について11月16日、21日に関係課と個別に意見交換させていただきました。
ご回答内容、意見交換内容を踏まえて、本再要望書を提出させていただきます。
以下の要望内容について真摯にご検討いただき、施策に反映くださいますようお願い申し上げます。
1.千葉市として、年間被曝量(外部被曝+内部被曝。但し自然放射線を除く)の基準限度について、
①一般人は法令で定める1ミリシーベルトとすること。
②子どもは、細胞分裂が活発で放射線感受性が一般人(30歳前後)の2~4倍高いことから、より厳しく(0.25~0.5ミリシーベルト/年)すること。
とし、市民の生命、健康に守る立場から、この基準限度に納まるよう、諸施策を遂行することを市の基本方針とすること。
2. 上記1の基本方針に従い、とりわけ子どもの健康を守る立場から空間線量を再評価すること。
前回要望書への回答で、1回目の測定が「0.09~0.24マイクロシーベルト毎時の範囲となっており、放射線の専門家から値のばらつきは人体への影響に差が出るほどの違いはないこと、子どもたちの外遊びを制限するような値ではないというコメントをいただいております」とあるが、3.11以前を0.07マイクロシーベルトとすると、事故後に上昇したままの空間線量は、年間250日×4時間/日×(0.24-0.07)マイクロシーベルト/時=170マイクロシーベルト/年となる。
事故後半年以上経過した現在、この上昇したままの線量分は原発事故で放出された放射性セシウムによるものと考えられる。
これに呼吸、水、食物などを通じての内部被曝分を加えると必ずしも安全とは言い切れない。専門家コメントの妥当性と共に、空間線量の再評価を求める。
3.食品の放射性物質の検査について、分析器、分析環境の見直しを行うこと。
市内の流通食品や給食食材の放射線量測定で、検査機器としてNaIシンチレーションサーベイメータTCS-172B(日立アロカメディカル(株)社製)が使用されている。しかし、これは暫定基準値を超えているかどうかを判断するための「簡易測定」(検出下限値:67.8ベクレル/kg)に過ぎない。
上記1の立場で、食品の放射線管理をするには、Ge半導体方式の分析機を使用し、かつ周囲の放射線の影響を避けて測定する必要がある。
以下に記すように食品を暫定基準値で管理した場合、年間1ミリシーベルトを厳守できない可能性がある。分析器、分析環境の抜本的な見直しを求める。
注)暫定基準値の問題点
コメについて政府が定めた暫定規制値500ベクレル/kgはコメだけで基準限度をオーバーする可能性がある。
※セシウムをセシウム137とセシウム134が半々だとして、被曝線量係数は、1ベクレルあたり0.016マイクロシーベルトを使用すると、
500×0.164×0.016×365÷1000=0.479mSv
日本人(成人)の平均的なお米の摂取量は、通常で0.164Kgと言われる。
500×1.4×0.016×365÷1000=4.088mSv
日本人(成人)の平均的な食品の摂取量は、通常で1.4Kgと言われる。
体内被曝、対外被曝をあわせて1mSvを守ろうとすれば、かなり厳しく制御することが必要となる。すべての食品が汚染されているわけではないが、食品以外の放射性物質の摂取やそのほかの被曝も考えられる。お米の規制値が500ベクレル/Kgではお米を食べる量の多い人ではお米だけでも基準限度をオーバーする可能性がある。
こどもたちの給食はより厳密に測定されなければならない。10ベクレル未満まで測定できることが望ましい。
4.子どもの内部被曝状況を確認する
(1)尿検査体制を整備すること。
市は回答で「現時点で、千葉市内に流通している食品などに含まれる放射性物質の濃度については食品衛生法上の暫定規制値を下回っていることから、内部被曝状況の確認のための尿検査を実施する必要はないと考えています。」としたが、
食品衛生法上の暫定規制値を下回っているから体内被曝の心配がないと言う理論は成り立たない。前回要望書及び前項で指摘した通り、「主食のコメについて政府が定めた暫定規制値500ベクレル/kgはコメだけで基準限度をオーバーする可能性」があり、他の暫定規制値以下の食材の摂取が重なれば、放射線に対する感受性が高い幼児・児童にはけっして安全とは言い切れない。再度検討を求める。
(2)「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)のヨウ素131の空気中の濃度分布の試算結果と実測値から、過去の内部被曝値を推定すること。
市は回答で、「福島県が(独)放射線医学総合研究所の協力を得て行った県民健康管理調査の先行実施区域(浪江町、飯館村等)での結果は、全員が健康に影響が及ぶ数値ではなかったことから、放射線量が福島県より大幅に低い東京近郊においては、内部被曝値を推定する必要性は低いと考えております。」としたが、福島県の調査の実施時期が遅過ぎており、適正な時期に行われた検査とは言えないと考える。
「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)のヨウ素131の空気中の濃度分布の試算結果や実測値の蓄積もあるので、過去の時点での内部被曝値を推定することは重要であると思われる。再度検討を求める。
(3)実際に子どもが食べる給食一食分の放射性セシウムの量を測り数値を毎日公表すること。
(4)千葉市内で標準的な生活を送る子どもの1日の生活パターンを設定し、被曝量(外部被曝+内部被曝)が上記1の基準限度に納まっていることを試算し、その結果を公表すること。
5.放射性物質に汚染された災害廃棄物の焼却処理について
意見交換で担当課は、「清掃工場の排ガス処理装置のバグフィルターの粉塵の除去効率が99.71%であり、排ガス、採取処分場の排水の放射能測定結果は測定器の検出限界値以下を示す「不検出」であり、外部への放射性物質の漏洩はない」とした。
しかし、焼却灰には数百~数千ベクレル/kgの放射性セシウムが確認されていることから、ガス化した放射性物質や除去できなかった粉塵(0.29%分)に付着した放射性物質は煙突から大気中に放出されているものと考えられる。
いただいた平成22年度の3清掃工場の稼動実績によると排ガス量は17億6520万㎥N/年である。
そこで、
① 3清掃工場のバグフィルターの詳細仕様、型番
② バグフィルター前の放射性セシウム濃度の測定値
③ 測定器の仕様、検出限界値
④ 検出値以下の場合、煙突から1年間に放出される放射性物質の最大量と拡散範
囲
⑤ 各清掃工場、最終処分場の平成22年度の放流水量
について、情報の提供を求める。
以上