生活と環境 科学者の目       (2012-001)


放射能汚染のある食材からの放射性物質の吸収を低減化する方法

 (放射性セシウムについて)


  放射能汚染のある食材を調理前に適切な処理することによって、放射性セシウムの体内への取り込みを相当量少なくすることは可能です。

  放射性セシウムが検出された根菜類の場合、よく水洗いして、皮むきをすることに加えて、一度ボイル(アク抜き後、煮汁ごと捨てる)した後に、調理すると、かなりの放射性物質を除去することができます。 

植物体のどこに放射性セシウムは多く含まれるのか? 

  同じ植物でも、植物体の部位により、カリウムの含有率は異なりますが、本来カリウムを多く含む部位に、カリウムに似た性質の放射性セシウムが多く含まれる傾向があります。同じ食材でも放射性セシウムを多く含むことが考えられる部位については、多少の栄養素が抜けることには目をつぶり、細かくカットし、ボイルした後、調理することがお奨めです。


低線量被曝による私たちの健康に与える影響は?
 
 低線量被曝による私たちの健康へ与える影響については、未だに結論がでていません(学術的に究明中)。また、放射線に対する感受性には個人差があり、同じ線量を被曝しても影響が個人個人で異なることが考えられますので、放射線に対する感受性の高い人や若年令層(とりわけ乳幼児)の体内被曝量は少なくするべきであると考えられます。


今が旬のタケノコの話題 

    タケノコの通常のあく抜き処理は、竹皮の風味をタケノコに多くしみこませる為、タケノコの皮をつけたままで先の方を斜めにカットし、切り口から皮の部分に縦に1本切れ目を入れておこないます。放射性セシウムが含まれている可能性のあるタケノコの場合、できるだけ放射性セシウムを除去したいものだと思います。タケノコは植物の中でも硬い細胞なので、細かく輪切り(スライス)し、大き目の鍋に充分量の水を入れて、あく抜き処理を行うことをお奨めします。

   先端のやわらかい部分は姫皮といいますが、姫皮も取り外し、タケノコの先端部から薄くスライスすることが大切です。タケノコはやわらかいと思われるかもしれませんが、細胞が丈夫なので、そのままでは細胞内に蓄積された放射性セシウムを除去することは難しいものなのです。節と節が重なっている部分は特に細胞分裂が盛んで、細胞数が多くなっているので、特に薄くスライスしてあげることで取り込まれている放射性セシウムを除去しやすくすることができます。

   
 充分量の水について

   特に基準はありませんが、大き目の鍋に筍1本分(大きさによる)が目安です。タケノコの量によっては、2〜3回水を換えて、あく抜きすることもお奨めです。


放射性セシウムの多い部位は?
 
 筍の細胞分裂が盛んな部分(主に先端に近い部分)は、細胞数が多く、カリウムが多く含まれるのです。そのために、カリウムに似た性質の放射性セシウムも多く含まれることになると考えられます。
 
  ※ カリウムは、細胞内に多く含まれています。
 
   
 
 具体的なタケノコのあく抜き
 @ タケノコの皮を剥ぐ
 A  姫皮の部分をカットし、家庭用スライサーでスライス
 B  姫皮の部分は、繊維を切断するように細く切る
 C  タケノコの量と比較して大きめの鍋にタケノコを入れ、たっぷりの水を満たし、米ぬかを入れ、強火にかける
 D  沸騰したら、弱火にし、落としブタをして 根元の部分が柔らかくなるまでゆでる
 E  タケノコが柔らかくなったら、湯を捨て、きれいな湯にタケノコを入れ、冷ます 注意:圧力なべは使わない。

* 通常のゆで方よりもかなりセシウムが減少するはずです。

 
【タケノコの話】

   
食用になるタケノコは、縦に切ると、皿を重ねたように節と節が連なって見えます。その節の部分で細胞の分裂が行われています。この時期のタケノコは細胞の数をどんどん増やしているのですが、細胞自身はあまり大きく伸びていかないのでタケノコもあまり伸びることは無いのです。この時期のタケノコの組織を調べると平たい細胞の集まりであることがわかります。タケノコが地上に顔を出すと生長が急に早くなり、細胞分裂よりも細胞の伸長が始まり、一日で1mあまりも伸びることもあるのです。

 

 
放射能や放射線、また食生活や健康についても正しい知識を身に着けて、自分で正しい判断ができるようにすることが必要です。是非、健康的な生活習慣やバランスの良い食生活を日常的に心がけるようにしましょう。

※ 「放射能汚染のある食材からの放射性物質の吸収を低減化する方法」については、 「エネルギー政策を考える千葉市民の会」発行のブックレットに詳しく紹介されています。

   題名 「わかりやすい放射能と放射線の知識 〜汚染食品から子どもを守る方法〜」
                                                著者:岐部健生


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