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千葉市緑区の環境放射線量率(γ線)の計測

    〔2011年12月7・8日の時点〕

エネルギー政策を考える千葉市民の会


今回の調査では、千葉市の緑区内における原発事故による放射性物質の拡散による影

 響を、環境放射線量率(γ線)を測定し、原発事故前の環境放射線量率(γ線:0.03~

 0.05μSv)と比較評価を行った。千葉市緑区土気、誉田、鎌取地域の複数の地点(一部大網白

  里町地域を含む)で12月7・8日に計測を行った。

測定機器:日立アロカメディカル シンチレーションサーベイメータ TCS-172B
測定回数・値:30秒測定を3回繰り返し、その平均値(小数点第三位以下四捨五入)記録。


「結果」

 データは以下の通りであった。

放射線測定記録    (測定値単位:μSv/H

201112月7日  天候:晴れ時々曇り(前日:雨天)  

場所

地点

測定高さ

平均値

備考

①土気事務所

1階中央

50cm

0.05

930

(大椎町1188)

外駐車場(コンクリート)

50cm

0.09

雨水流路

前道路

50cm

0.06

外駐車場中央

50cm

0.07

②大椎台第2公園

中央(芝生)

50cm

0.09

945

ブランコ(土)

50cm

0.08

滑り台降り口

50cm

0.07

樹木(枯葉)

50cm

0.07

同上

10cm

0.07

側溝上(西側)

50cm

0.09

歩道(東側)

50cm

0.06

③あすみが丘3民家

道路側溝上

50cm

0.09

1005

西側三叉路側溝上

50cm

0.10

生産緑地排水管

50cm

0.10

生産緑地中央

50cm

0.08

庭(雨水枡上)

10cm

0.07

外部屋根下

50cm

0.06

④ほほえみの広場公園

中央(土)

50cm

0.10

(あすみが丘3)

遊具下

50cm

0.09

1025

砂場

50cm

0.06

前面道路

(インターロッキング)

50cm

0.08

⑤水辺の里公園

調整池際

50cm

0.06

1040

駐車場(アスファルト)

50cm

0.10

⑥昭和の森

湿生植物園木道

50cm

0.07

1100

湿生植物園斜面下

50cm

0.09

冒険広場モミジ近く(芝生)

50cm

0.07

1110

冒険広場中央(芝生)

50cm

0.07

太陽広場中央(低地)

50cm

0.07

1116

太陽広場

50cm

0.07

植え込み

湿生植物園斜面下風下

50cm

0.09

1140

⑦大藪池谷津

田んぼ(フ°ロとけ)

10cm

0.05

1206

 (越智町) 

田んぼ(Wさん)

50cm

0.06

①土気事務所

駐車場中央

50cm

0.07

1230

 (大椎町1188

駐車場側溝

50cm

0.08

雨どい

  0.08

集水枡上

蓋面

0.09

集水枡中

0.16

⑧誉田駅北口

歩道(インターロッキンク゛)

50cm

0.09

1350

公園中央(土)

50cm

0.06

公園花崗岩ベンチ

10cm

0.10

花崗岩のカリ40の影響

植え込み

50cm

0.08

⑨中央リラックス館

部屋中央

50cm

0.05

1410

外部駐車場(砂利敷き)

50cm

0.08

⑩扇田小への遊歩道

高架下を通る遊歩道(北側)

50cm

0.09

1430

高架下を通る遊歩道

(南側)

50cm

0.06

校門前(土、コケ)

50cm

0.07

⑪学園前プラザ通

歩道(おゆみ野中央125

50cm

0.08

1450

⑫ヤオコー駐車場

50cm

0.09

⑬春の道橋下

排水溝

蓋面

0.10

1500

⑭春の道公園

中央(土)

50cm

0.07

⑮さくら公園

芝上

50cm

0.08

1515

排水溝

蓋面

0.09

タイル

50cm

0.09

⑯鎌取公園

水溜り(土)

50cm

0.10

中央(土)

50cm

0.07

砂場

10cm

0.09

遊具の下

50cm

0.07

ク゛ラウント゛側溝

30cm

0.08

1540

水溜り(土)

30cm

0.08

鎌取駅・高層マンション

駐車場(アスファルト)

50cm

0.11

同(排水枡)

50cm

0.12

同(植栽)

50cm

0.09

同(排水枡)

蓋面

0.10

1

50cm

0.04

8階居間

50cm

0.07

同ベランダ(東南面)

50cm

0.07

同ベランダ(北面)

50cm

0.05

⑱ゆみーる前広場

鎌取皮膚科前

50cm

0.10

植栽

50cm

0.08


放射線測定記録(2011128日) 天候:曇り       測定値単位:μSv/H

場所

地点

測定高さ

平均値

備考

⑲下大和田公園

中央(コケ)

50cm

0.07

1048

(下大和田町)

ブランコ下(土)

50cm

0.07

砂場

10cm

0.06

⑳金谷郷

道路(アスファルト)

50cm

0.09

1119

(大網白里町)

道路側溝

蓋上10cm

0.09

田んぼ

30cm

0.08

小中池手前

道路(アスファルト)

50cm

0.10

1140

(大網白里町)

田んぼ

30cm

0.07

小中池公園

駐車場中央(土)

50cm

0.06

1151

(大網白里町)

広場(土・コケ)

50cm

0.08

斜面

50cm

0.09

斜面(コケ・落ち葉)

30cm

0.11

小中池への下り

コケ坂途中

50cm

0.07

湧き水1230

昭和の森(⑥と同じ公園内の端)

展望台(土)  

50cm

0.07

1220





「まとめ」

緑区全域で屋外の環境放射線量(γ線:高さ50cm)は顕著な差は認められず、公園
 の
広場などで0.05~0.09μSv/時の測定値の範囲であった。この数値は千葉市が緑区
 内で行
っている環境放射線量の測定データとほぼ同じ(公園の広場0.05~0.09μSv/時
 であ
った。今回の私たちの使用した測定機器は、市の測定でも使用されている日立アロカ
 メ
ディカル社製のシンチレーションサーベイメータ(TCS-172B)であったので、地表から
 50cmの高さ(同一条件)での測定値を比較することで両者の測定を科学的に確認するこ
 ができた。

  今回の調査結果から、千葉市の緑区内では、原発事故による放射性物質の拡散に
 よる
影響は非常に少ないと考えられるが、原発事故前の屋外の環境放射線量(γ線:
 0.02~
0.05μSv)と比較すると、歴然として放射性セシウムによる放射線量率は平均
 で毎時0.02
マイクロシーベル以上高くなっていることは事実であることが判明した。
 
放射性セシウムの場合、除染作業によって取り除かない限り、半減するだけでも今
 後30年以上か
かるので、私たちはそのことをよく知って暮らしていくことが必要
 ある。

環境放射線量率の測定により、体外被ばくへの影響について推定することはできるが、 

 体内に吸収された放射性物質の影響(体内被ばく)は別問題であり、放射性物質の含有

 量が微量であっても長期にわたる体内被ばくの影響についてはわかっていないことだら

 けであり、今後の研究を待つしかありません。現状では、私たちが放射線による健康被

 害を防ぐ為に、医療用放射線や自然放射線以外に被爆する放射線量の限度を、法律で規

 定されている体内被ばくと体外被ばくと合わせて年間1ミリシーベルトの規制を遵守す

 ることが重要と思われる。

原発事故等による放射性物質の汚染によって、環境放射線量率が0.02μSv/時増加した

 場合、1日24時間、365日体外被ばくし続けるとすれば、被ばく線量は約0.18ミリシーベ

 ルトになり、この数値は年間の被ばく限度の1ミリシーベルトの約五分の一にもなり、

 0.10μSv/時増加した箇所では、年間で0.88ミリシーベルトとこれだけでも、年間被ばく

 線量限度の1ミリシーベルトに近い数値となる。

今回の測定によって、千葉市緑区における通常の生活での体外被ばくは、心配するこ

 とのないレベルであることが確認されたが、食事等による体内被ばくに関する問題もあ

 り、現在の暫定規制値での食品衛生法での管理では安心できるレベルではありません。

参考までに、政府が定めた暫定規制値500ベクレル/kgの食材、その食材が主食の米で

 あれば、かなりの量を1年間に食べ続けることになる。放射性セシウムがセシウム137

 セシウム134が半々だとして被曝線量係数1ベクレルあたり0.016マイクロシーベル

 の値を使用して計算する。お米の場合、日本人の平均的な摂取量は、成人1人当たり1

 日で0.164Kgと言われ、500ベクレル/Kgの規制値ギリギリのお米を1年間食すとすると、

 0.479ミリシーベルトとなり、主食の米だけでも被ばく限度の年間1ミリシーベルトの約

 半分まで到達する。

体内被曝、対外被曝をあわせてmSvを守ろうとすれば、かなり厳しく制御すること

 が必要となる。すべての食品が汚染されているわけではないが、食品以外の放射性物質

 の摂取やそのほかの被曝も考えられるので、放射性物質に対する感受性の高い幼児期~

 小児期、比較的感受性の高い未成年者にはできる限り体内被曝を避けることが望ましい。

 食品に関する規制値はできるだけ厳しく管理されるべきであり、食品に対する規制値の

 あり方やモニタリングの方法については更なる改善が望まれる。特に食品の放射性セシ

 ウム濃度を測定する機器の完備は不可欠であり、少なくとも1Kg当たり10ベクレル程度

 の検出限界の機種を導入することが望まれる。(できれば1Kg当たり10ベクレル以下が望

 ましい)

  ① 原発事故前の屋外の環境放射線量(γ線)

   0.02~0.05μSv

  ② 緑区内の屋外では、ほとんどの測定地点が0.05~0.09μSvの範囲であり、道路、

 住宅地や公園などほとんどの地点では0.06~0.08μSvの範囲であった。最大の測定

 値でも0.11μSvであった。

  ※ アスファルトやコンクリートなど水が流れて溜まり難い場所では、原発事故

    由来の放射性セシウムの蓄積は少ないと考えられるが、ゆみーる広場などの

    ような場所でも水はけが悪く、いつも水溜りになる場所などでは0.10マイク

    ロシーベルトとやや高い値を記録した。その他、道路の側溝などもやや高い

    数値を記録した。

    ※ 緩やかな丘陵地にある住宅地域では、高い場所にある道路や側溝よりも、低

    地になるにつれて、高めのデータが得られる傾向が認められた。このことは、

    放射性セシウムが水で流され、溜まっている土砂に吸着する傾向を示したも

    のと考えられる。除染する場合に、水で流すとその水が最終的に溜まる場所

    に放射性セシウムが蓄積し、ホットスポットを二次的に作り出すことにも成

    りかねないので充分注意することが望まれる。

  ※ 集水枡の金属製の格子の蓋を開けて、枡の内側にセンサーを入れると、枡が

    コンクリートで囲まれている関係で、四方からカリウム40由来のガンマ線量

    が増加することもあり、集水枡中側のデータが0.157と高くなっているからと

    言って、セシウム137等の原発由来の放射性物質が多く蓄積されていると判断

    することは早計である。集水枡の蓋面で0.091μSvであることから若干多い傾

    向であった。

  ※ 天然石(花崗岩など)を使用した建築・構造物の近くでは、天然の放射性物

    質であるカリウム40の含有率が高いこともあり、ガンマ線の値が高く出る傾

    向があった。誉田駅北側の公園にある花崗岩のベンチから10cmの高さで0.10

    マイクロシーベルトを計測した。

  ③ 屋内では、0.04~0.07μSvの範囲

  建築資材(鉄筋、軽量鉄骨、木造など)によって、自然に含まれている放射性物

 質の量が異なることもあり、今回の測定結果から建築資材による違いの範囲内にあ

 る空間放射線量の範囲内のデータであると思われる。福島原発以前の状態を確認す

 ることはできないが、木造では比較的低く、コンクリートでは混ぜられている原材

 料の砂利が花崗岩などカリウムを多く含む場合、またラドン等の量も多くなるので

 放射線量は高くなることもあり、原発事故由来の放射性物質による影響はほとんど

 ないものと考えられる。

千葉市の行っている空間放射線量率の測定結果を参照すると、千葉市内でも公園の広

 場など地表面から50cmの高さでの測定値で、美浜区では0.08~0.14μSv、花見川区では

 0.07~0.24μSv、稲毛区では0.09~0.17μSvと緑区内のデータと比較して高い線量率と

 なっている。

東京新聞によると、関東7都県の全区市に行った取材で、子どもへの影響や住民の不安

 に配慮するためで、自治体の担当者からは「住民の理解が得られず、環境省の基準は使

 えない」との声が上がっているとのことである。環境省の除染基準「地表から0.5~1m

 で、毎時0.23マイクロシーベルト」となっているが、16市が基準を毎時0.190~0.223

 マイクロシーベルトに設定、37区市で測定する高さを「地表面」「地上5cm」などと下げ

 て毎時0.23~0.59と事実上、同省よりも厳しい設定にしているそうだ。埼玉県桶川市で

 は、6月から、年間の被ばく限度を1ミリシーベルトとして「地表面で毎時0.19マイクロ

 シーベルト」の基準を設けて、除染を進めてきているそうで、関東地方の自治体では最

 も厳しい基準となっている。10月に環境省が除染対策特措法に基づく除染の助成対象を、

「毎時0.23マイクロシーベルト以上の地域」としたため、市は基準の変更を検討した

 が、市民に安心してもらうため変更を見送ったそうである。

環境省は「地表付近での測定を否定はしないが、空間放射線量を正しく把握する上で

 50cm~1mの測定高は妥当と考えている」と説明しているが、千葉市内でも子供たちが遊

 び、毎日通学する道路など、花見川区など毎時0.23マイクロシーベルトを超える測定値

 も確認されており、除染の必要な箇所はそれだけではありません。千葉県や千葉市にも

 地域住民の為に、環境放射線量率を測定するだけではなく、線量率に応じた除染など迅

 速な対応が望まれる。


  

   ③あすみが丘3民家・西側三叉路側溝上    ⑤水辺の里公園・調整池際

      

 

   

⑧誉田駅北口・歩道(インターロッキンク゛)      ⑱ゆみーる前広場・植栽


・・・・・・・・・・・・・・・参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・

 1) 
千葉県におけるサーベイメータによる空間放射線量の測定結果(2011/平成23年)

 1 測定場所千葉県環境研究センター(市原市岩崎西1-8-8)

 2 測定時間毎日9時に測定(雨天中止)

 3 測定結果

2)千葉県におけるサーベイメータによる空間放射線量の測定結果

                 (単位:マイクロシーベルト/時)

測定年月日

測定値

天候

1m

0.5m

127

0.06

0.07

曇り

121

0.07

0.08


3)千葉県モニタリングポストによる空間放射線量の測定結果(平成2312月分)

                   (単位:マイクロシーベルト/時)

  測定場所:海匝地域振興事務所(旭市ニ1997-1)

  日ごとの測定結果

日付

最大値

最小値

平均

127

0.043

0.040

0.041


  測定場所:千葉県環境研究センター(市原市岩崎西1-8-8)

日付

最大値

最小値

平均

127

0.042

0.040

0.041


※ 平成21年度中県環境研究センターでの放射線量は、0.0220.044μSv/であった。


4)緑区大椎町周辺の放射線(セシウム)測定値(2011111日)

                        (川本幸立 113日ブログより)

場所

測定地点

測定高さ

測定値μSv/時

備考

創造の杜

グラウンド芝生

1m

0.07

AM9:45

大椎台第三公園

芝生

1m

0.07

AM9:25

芝生

地表

0.08

砂場

0.5m

0.05

砂場

砂地表面

0.07

自宅前道路

アスファルト

1m

0.07

AM8:30

事務所前道路

アスファルト

1m

0.06

AM9:05 

自宅

(大椎台1188)

庭(土)

1m

0.06

集水桝

1m

0.06

屋内1階

1m

0.07

床面

0.07

屋内2階

床面

0.06

事務所

(大椎台1188)

駐車場(コンクリート)

1m

0.06

雨水桝

内部

0.19

縦樋下(コンクリート)

表面

0.10

屋内1階

床面

0.05

屋内2階

床面

0.04

測定時刻:2011111日(火)午前830分~10時 天候:晴れ

測定機器:日立アロカメディカル シンチレーションサーベイメータ TCS-172B

測定回数・値:30秒測定を3回繰り返し、その平均値(小数点第三位以下四捨五入)。